Bid Cashing論争:PubMaticの見解

Post on August 31, 2018 by Kelvin Pichardo

Kelvin Pichardo Senior Director, Product Marketing

2018年8月16日にAdExchangerに掲載された記事、“Index Exchange Called Out For Tweaking Its Auction”にて、Index Exchange社が顧客やパートナーに開示せずにBid Cashingを行っていることを報じられたことから、欧米諸国ではBid Cashingに関する議論が活発化しています。このブログ記事では、そのBid Cashingの解説をしながら、PubMatic社の見解をご紹介します。

<ブログ本文>

ここ数週間の間、デジタルメディア業界ではIndex Exchange社によるBid Cashingの話題で持ちきりでした。そもそもBid Cashingとは何なのか?なぜそれが行われたのか?そしてBid Cashingはパブリッシャーと広告主双方にとってどんな影響を及ぼすのか?について、盛んに議論されたのです。

もちろんPubMaticでもBid Cashingについての情報を収集・分析し、主要なバイヤーの方々と何度もBid Cashingについての意見交換を行いました。その結果、PubMaticは、バイヤーの皆さんがBid Cashingに不快感や不信感を抱いていると判断しました。したがって、PubMaticでは、現在もこれまでも、Bid Cashingとは一切関与していません。

Bid Cashingはブランドやエージェンシー、バイヤーやマーケター、DSPやパブリッシャーにコミュニケーションを取ることなく、透明性の全くない入札操作を行うIndex社の組織的な行為ですが、ここ数日の議論を見聞きしていますと、どうもデジタルメディア業界では、Bid Cashingについて大きな誤解をしている人が多いようです。このブログではBid Cashingについて最もよくある誤解と、私たちPubMaticがBid Cashingに関与しないと決定した理由をご説明します。

 

誤解その1:Bid Cashingは業界の標準的手法であり、誰もがBid Cashingを行っている

まず理解していただきたいのは、Bid Cashingは決して標準的な手法ではなく、現実的に活用されている例はほとんどないということです。

先日、顧客やパートナーに開示せずにBid Cashingを行っていることを報じられたIndex Exchange社の製品担当SVPであるDrew Bradstock氏は、AdExchangerの取材に対して「Bid Cashingは業界では広く行われていると認識していた」と述べていますが、実際には同社のケースがBid Cashingを行った唯一の実例ではないかと思われます。PubMaticだけでなく、MoPubOpenXRubicon ProjectTelariaも、これまで1度もBid Cashingに関与したことはないという声明を発表しています。

Bid Cashingのように透明性のない技術を使ってしまうと、ヘッダー内で競合するSSP間で公平性が保たれなくなってしまします。ヘッダー入札はあくまでもSSP間の公正な競争のために作られた仕組みであるのに対し、Bid Cashingはバイヤーからより高い入札を促すために作られた仕組みであることを理解しておくべきです。

誤解その2:Bid Cashingによってユーザーエクスペリエンスが向上する

Bid Cashingを行っているIndex Exchange社は、自社サイトのブログ記事で、Bid Cashingを行えばユーザーエクスペリエンスを改善できると主張しています。しかし、AdExchangerには、この申し立てが間違っており、実際にはIndex Exchange社がBid CashingとAd Cashingを組み合わせて使っていることを指摘する声が複数寄せられました。

例えば、Ad Cashing機能を使って、動画広告のオークションを行い、ゲーマーがレベルを1つクリアするごとに動画広告を表示するとしましょう。Bid Cashingでは、Ad Cashingの価格情報を再利用するので、実際には単一のSSPからキャッシュされた入札にもかかわらず、後続のインプレッションに対するオークションは、ラッパーで適用されたのと同じ時間枠で行われることになります。その結果、Bid Cashingがヘッダー入札環境でのユーザーエクスペリエンスを向上させることはほとんどありません。それどころか、実際にはBid Cashingを行うことによってユーザーが広告ユニットにアクセスする時間が増えてしまうなど、エコシステムの非効率化が懸念されます。

誤解その3:Bid Cashingはバイヤーに大きなメリットをもたらす

Bid Cashingを使うとバイヤーがより多くのオーディエンスを獲得できるようになるという説がまことしやかに流れていますが、残念ながらこれも誤った情報だと言わざるをえません。というのも、この説にはバイヤーがいかにして入札価格を決定しているのかという視点が欠けているからです。広告主はAd Cashingを使用してしまうと、自身のマーケティング費用をコントロールできなくなってしまいます。例えば、Bid Cashingは、高値の広告プレースメントの入札単価をキャッシュし、価値の低いプレースメントのオークションに不正流用してしまうので、バイヤーはいわゆる過払い状態に陥ってしまいます。また、Bid Cashingは、DSPのペーシングアルゴリズムが正しく動作するのを妨げ、初期広告がキャッシュに置かれている間に別のインプレッションに入札する可能性もあり、広告主のフリークエンシーキャップに影響する矛盾と課題を引き起こします。

さらに、マーケターの皆さんが最も注意すべき点として認識しておかねばならないのは、Bid Cashingは、ブランドセイフティを損なう可能性が高いということ。Bid Cashingによる入札はキャッシュされ、最終的にマーケターのセイフティパラメーター外のページ上で使われるからです。これによってバイヤーが追わねばならないリスクは、オーディエンスの獲得といったメリットを帳消しにしてしまうほど深刻なものです。

誤解その4:Bid CashingはOpenRTB標準でサポートされている

Index Exchange社は、「Bid CashingはOpenRTB標準でサポートされており、バイヤーが他の手段では入札に参加できないような特別な環境で使用される」と主張しています。しかし、この主張では、Ad cashingが行われる環境での請求通知については全く言及されていません。そもそもOpenRTB標準にはBid Cashingについての言及は全くなく、Index Exchangeが主張するようなユースケースはカバーされていないのです。

誤解その5:Bid Cashingを使うと、バイヤーはヘッダー入札で最適な供給経路を選ぶことができる

バイヤーにとってヘッダー入札を採用するメリットの1つは、最適な供給経路を選択する機会が得られることです。このメリットは、よりオープンで透明性の高いエコシステムを構築するという業界ぐるみの取り組みによって支えられてきました。しかし、Bid Cashingのようなブラックボックスオークションのゲームマンシップが台頭すれば、そのエコシステムの健全性と透明性が脅かされ、コントロール不全に陥ってしまいます。

実際、バイヤーは1年以上にわたってBid Cashingが行われていたことに気づいておらず、結果としてバイヤーは適正な情報に基づいた選択ができなくなっていたのです。いまこそ、業界が一丸となってプログラムによるオークションの透明性を、これまで以上に強く要求すべきときがきています。業界がサーバー側のラッパーの採用を進めるにあたっては、オープンソースのソリューションが不可欠です。

PubMaticでは、デジタル広告業界においては透明性が非常に重要であると考えています。当社は、顧客との価格協定とオークションの仕組みの双方において、オープンな透明性を確保するために、これまでも多くの措置をとってきました。バイヤーやパブリッシャーは、技術パートナーに積極的に質問をし、オークションの仕組みやパフォーマンスとコントロールの意味を確実に理解しておくことが不可欠です。